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第2回コルク×noteマンガコンテストの話・王道という呪縛

 

 11月22日、note公式アカウントから第2回コルク×マンガコンテストの開催が発表された。

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■応募要項

募集期間:2016年11月22日(火)〜2017年1月31日(火)
審査員:佐渡島庸平、柿内芳文ほかコルクの全編集者、cakes編集部
募集作品:あなたが考える「王道マンガ」を、1話完結で描いてください。
応募資格:1985年生まれ以降の方
応募方法:noteのイメージノートで、ハッシュタグ「#コルクコンテスト」をつけて投稿してください。
ツイッターのアカウントをお持ちの方は必ずアカウント名を明記してください。

くわしくはこちらをご覧ください。
http://cork.note.mu/

審査員・柿内芳文からのメッセージはこちら。
https://cakes.mu/posts/14584

 

 昨年同時期に続いての開催ではあるが、開催から1週間経った現在の応募者は告知以前の投稿作品にハッシュタグをつけた一件のみである。コンテストの期間はまだあるとは言え、今後大幅に増えることは期待できないのではないだろうか。このコンテストは様々な問題を抱えている。

 
コルクコンテスト・noteハッシュタグリンク

http://u0u0.net/A22c

 

 まず、コルクhttp://corkagency.com/はマイナーであること。現在盛りあがっているとは言えないnoteとともに。優秀な漫画家志望者を多数集めるためには、まだまだ知名度を上げていく必要があるだろう。そして、にも関わらず求めている作品、漫画家のレベルは非常に高く、前回やnoteと連携する以前のコルク新人賞時代から特選(最高賞)作品は選出されていないこと。応募してもどうせ入賞しないだろうと思われてしまえば、応募者は減るのではないだろうか。

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 さらには入選したからといって賞金も出ず、例えば他の雑誌主催の新人賞などのように「入賞すれば即商業誌デビュー」などが確約されていないこと。前回のコンテストでもcakeshttps://cakes.mu/での連載に至ったかたはいたものの、残念ながらその後Web上で大きく話題になったり書籍化されたりするなど、それ以上の進展はなかったようである。

 

前回の募集記事がこちら。

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 結果発表がこちら。

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 そして今回特に問題なのは、応募要項のうちの

あなたが考える「王道マンガ」を、1話完結で描いてください。

という部分である。「王道」とは、一体何であろうか?その答えは人それぞれであろう。それゆえ「あなたの考える」と付け加えたのであろうが、それにしても曖昧で、どのような作品であればその条件を満たすのか。興味を持って応募を考えた志望者も迷ってしまうのではないだろうか。「一話完結」という部分も引っかかる。1ページ、1コマでも良いのか?何百ページにもなるような作品でもそれ自体で完結していれば良いのだろうか。また、応募者たちが必ずしも漫画にのみ専念できる生活環境にあるわけではない中で一つの漫画作品を構想し描き上げていくには二か月強という時間は、充分とは言えない短さなのではないだろうか。

 

 コルク、noteの運営サイドには、共に自分たちこそが常に選ぶ側であるとの意識、よく言えば自負があるように思うが、漫画家志望者が応募する先として、人生を左右するに足る相手として自分たちが選ばれるために必要なことを、今一度考え直す必要があるのではないだろうか。

 

 しかしながら編集者でもないただの素人、読者としては過程はどうあれ面白い漫画が読めればそれでいいとも言える。今はただ、残り二ヶ月の期間中にコンテストへの応募が増えて盛り上がり、かつての「地球の歩き方」のようにnoteへの投稿が入賞作品のみであったり、入賞したところで大して話題にもならずnoteへの投稿が途絶えてしまうユーザーが現れないことを願うのみである。

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